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エッセイ第37回「戦争の記憶ー語りつぐべきものー」

2018年07月04日

 『戦争の記憶―未来への伝言—』が観音寺市から発刊されました。

 観音寺市民の戦争体験記です。はじめの8ページはカラー写真で当時の出征兵士の様子や、戦場、観音寺市飛行場、暁部隊豊浜船舶、幹部候補生隊。銃後の生活、学校生活(学習・訓練)。学校生活(参拝・勤労・遊び)など。さらには学童疎開(西光寺)30名余の様子などが撮られています。

 3年程前に隣の三豊市では、300ページくらいの『戦争の記録』を出版されたので、わが観音寺市でも、「語り部」が元気な内に、作り上げてゆくべきだ、貴重な戦争体験を風化させないで!と観音寺の自治会連合会や遺族会と共に、青年団OB会が市長や議会にも、お願いしてきたところでした。この書は、370ページの中に、冒頭、近代戦争や、その後の世相、青少年義勇軍のことなどが書かれています。

 二編以降は戦地での兵士の体験。内地の様子や、残された家族の体験等。高齢者の方々には、市職員が出向いて行き、聞き取りをして記録としています。ソ連での捕虜生活の悲惨さをはじめ、南方や沖縄への特攻隊のことなどです。中でも一番読みたいのは、80余名の方々の「実戦争体験記」そのものです。私もまだ半分も読んでいませんが、親しい人達10人程の体験を先に読んで、胸にせまるものがありました。

 どの人の文章も直接、又は間接に戦争を体験し、『戦争とは何と哀れなものか、戦争になると人の命は紙切れよりも、軽くなる。』と書かれています。知性も教養も、文化も芸術も、打ち捨て歴史も書き換えて、一億が総バカにならなければ、戦争は進められないものであったのかと、改めて知りました。体験した者でなければ、腹の底から知り得ない戦争の怖さ、平和の大切さを今更のように感じます。

 私は友人の林馨さんのもっと長い原文を読んでいます。この本の中(214ページ)でも、何回も読み返しました。読むたびに涙が出ます。「お国の為に」と称して林さんのような家族を何百万人も平気でつくってきた軍国主義の為政者を許せません。政治家の中でも、保守、革新を問わず、自分自身が戦争の体験をしている人は、戦後につくられた平和憲法の根幹である「9条」改正には反対しています。自民党の幹事長を務めた後藤田さん、大平正芳さん、野中さん、古賀さん、加藤紘一さん、河野洋平さん等々です。田中角栄さんは、『政権の中枢が、戦争体験のない人達で占めるようになると、9条が危うくなるのでは。』と生前語っていました。イデオロギーを超えて、人類の命を守ることに賛成し、人の命や財産を危険にさらす戦争に反対するのは人として、実に尊い行為だと思うのです。

 ドイツ統一の初代大統領ヴァイツゼッカー氏は、太平洋戦争終戦40周年を記念する演説で『過去に目を閉ざす者は、現在に対しても、やはり盲目となる。』と述べましたが、先の大戦について、私達は、観音寺市がこうやって後世に伝えるものを、長い努力をして作り上げたことに、心から敬意を表します。書籍は1,000部作って、市民に2,000円でお分けできるのは600冊と聞き、私は急いで5冊、買い占め(?)てきました。市民の皆さんに読んで頂き、『平和の書』としてほしいと思います。

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