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エッセイ第34回「におい」

2018年04月14日

 私は戌年生まれである。人一倍鼻がきくように思っている。他のご家庭を訪問した時、玄関の戸を開けて「ごめん下さい」と中に入ると、魚を焼くにおいとか、カレーのにおいとか、その日の献立がわかりそうな時がよくある。鼻が敏感なのも困ったものだ。

 特に満員の列車の中で、誰かが「駅弁」の蓋(ふた)を開けると強烈な臭いが車内に拡がる事がよくある。料理のニンニク臭だ。不快である。鼻をこすりながら、何とかならないものか!!といつも思う。今や瀬戸大橋線から新幹線に至るまで、『禁煙』と『携帯電話の使用禁止』は、徹底されているが、理由は、他のお客様にご迷惑をおかけしないように———とのこと。迷惑の範囲の中に「不快なにおい」「有害なにおい」は入っていないようである。JR当局に聞いてみたい思いである。

 ついで、口臭について。先日、読んでいたマネジメントの本の中に、口臭薬について書かれていた箇所があった。ある職場のA部長は、人柄も、部下の面倒見も良い、いい人物であったが、口臭がひどい。その部長の近くへ行くだけで嫌な臭いに包まれる。部長が笑ったりすると、その強い口臭が回りに振りまかれて、みんな大変な事になるので、部長を笑わせないように、みんなで努力している。部長の強烈な口臭は、みんなが知っている事だが、唯一人そのことを知らない人がいた。それは部長その人であった———。これは笑えない真実である。職場にはよくある現実である。製薬会社は高齢者等にある潜在的ニーズを掘り興し、ついに口臭予防薬『リステリン』を作り、世界的大ヒット商品となった、とある。口臭は本人にはわからない。もしかしたら、私も口臭はA部長のように、自分にはわからず、他の人に不快感を与えているような事はないだろうか、家族は何も言わないが・・・しかし、ふと不安な時がある。私は妻に頼んで、この『リステリン』を買い求め、3月初旬から使用している。

 爽やかな匂いについて書きたい。〔風鈴がチリンとなって風一つ金木犀(きんもくせい)の香りをつれて〕———これは、孫が小六の時につくった歌だ。わが家でも玄関前の小さな庭に金木犀(きんもくせい)の木がある。文字通り黄金色の小さな花を枝いっぱいにつけて、2週間くらい匂っている。実にいい香りで、かなりな距離まで匂いは、運ばれている。隣の梅は、朽木(くちき)に近い老木だが厳しい寒さの中でも蕾をつけ、今年も2月末から3月初句にかけて、一面に開花した。優雅な香りを漂わせてくれた。ふと足を止める。平穏な日の心が和む時である。(においは鼻ばかりで、嗅ぐものではない。)

 最近、私たちの回りに迫ってくるのは、キナ臭い「戦争前夜」のにおいである。わが国は愚かな先の大戦の反省に立って世界に誇る平和憲法を制定した。この憲法を守って戦後70余年、外国に戦争をしかけたことも、又攻撃されたこともなく、一人の外国人も殺していないし、殺されてもいない。しかし、昨今になって、にわかに平和憲法を変え「戦争をする国」になろうと様々な法を作り仕掛けをしているが、しかし、国民の平和への願いは保守革新を問わず、圧倒的に根強い。キナ臭いにおいは国民の力で消し止めて、平和憲法を守る力をさらに高めたいものである。

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