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エッセイ第32回「金融・リース 今昔 その1」

2018年02月01日

 親しくしていた設計事務所の紹介でK氏ご夫婦を知りました。高松駅からほど近い中通りに更地を持ち、中規模の斬新なホテルを新築する計画でした。わが社は、設備工事、電気工事の一切を請負させてもらいました。42~43年前の事で、請負額は8,000万円台であったように思います。

 ご主人も奥さんも、揃って熱心な働き者でした。1/3位は自己資金で、後は借入金でまかなう計画でした。当時、銀行融資はいっぱいで、借入先を紹介してもらいたいとのことでした。私は商社金融を思いついて、わが社と取引のあるA商事の支店長のところへ、施主ご夫妻をご案内しました。

 配炭公団の経理をされていたというご主人は緻密な計画書の説明をされ、テキパキと切りまわしをされる女将さんタイプの奥さんとのペアの情熱が伝わったのか、支店長に好印象を与えた様子でした。関係書類を精査する時間を置いて、私も3回くらい同行しました。「支店長さん!貸してくれるんですか。くれんのですか!」と奥さんが詰め寄った結果、一応OKとなり、貸付金利は12.0%と言われました。今から思えば10倍の金利ですが、当時は商社金利とはこんなものか・・・と考えました。

 A商事が貸付を決定して数日後にKご夫妻が私に対して、そのA商事からの借入金融の件を断って来られたので、びっくりしました。聞けば農協の方が条件もよい。金利も10.5%とのことでした。ご夫妻は商社の貸付決定に意を強くし、それを後楯にして、他の金融機関と重複交渉を進めてきたのです。ホテル側の強かさに舌を巻きました。私は中に入って、口をきいてきただけですが、ここまで来て、A商事へ断るのは本当に言いにくい事です。しかし、やりにくい事を後まわしにしないで、やりにくい時こそ一番早く解決していく事が私達商人の務めだと、自分に言い聞かせました。

 次の日の早朝、私は高松の商社ビルの最上階のドアの外でA支店長の出勤を待ちました。ほどなく「三宅さん。こんなに早朝に、どうしたんですか。」と先方から声を掛けられ、応接間へ通されました。私は今回のホテル建設資金については、A商事から融資される事で喜んでいましたが、その後施主側の都合で、農協から融資を受けるに至った経緯を率直にお話し申し上げ、今回のお断りとこれまでのA商事のスピード対応に心から感謝を申し上げました。「いやァー、三宅さんが早朝に立っておられるので、金融の話がもしや?とは思いました。」と支店長も笑っておられました。

 後日談があります。1年後の新ホテル落成の披露宴では、施主ご夫妻の計らいで、A商事の支店長をお招きしていました。一番上座へ座って下さった支店長も屈託なく、施主ご夫妻や私共とも談笑され、中小規模ながら、立派に完成した新築ホテルの様子等をあれこれ、カメラに収められたりしておりました。その後、私も高松で宿泊する時は、よくそのホテルを利用させてもらっていました。

 さて、今回タイトルの『リース』の事ですが、建築の進行後契約に従って、私共は滞りなく支払を受け、最後の3,000万円の請求書を提出しますと『3,000万円は当初からリース契約と言ってきたので、その様な手続きでお願いします。』と奥さんに言われました。

次回へつづく

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