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エッセイ第24回「多角経営に挑んだ頃 その2」

2017年05月25日

大工さんや左官さんが使ったものですが、従来型の汲み取り式コンクリート便槽のように考えて、掃除をした際に誰かが投げ込んだものと考えられます。それらを手でつかんで取り除き、マンホールの外に出しました。「トイレの中に、こんなものが入っていました。取り除きましたので、もう大丈夫です」と私は報告しました。「三宅さんと、青年団の研修会で議論し合った頃のことを思うと、あんたが使用中の便槽へ入るとは、あんたも変わったなー」と、建設課のH氏に云われました。私の中には、トイレの中が汚いとか、苦しいとか、誰がこんなものを投げ込んだのか、などの感情は一切なく、普通の使い方をすれば、無臭トイレは説明書通りの機能を果たしていき、使用される方々に喜んでもらえるハズだと云う信念があり、それが実証されていることの安堵感さえありました。
 当社のす早い動きと、社長が率先垂範して、問題解決を図った事で、当局にも好印象を与えたのか、次年度からは、市営住宅の新築物件のすべてに「セキスイ無臭トイレ」が採用されることとなりました。
 その後、西讃地域では、官・民を問わず、戸建ての新築住宅は、その8割近くは無臭トイレになっていきました。特に、観音寺・三豊地域は全国的にも有数の「無臭トイレ」設置比率地帯となっていきました。
 私たちは、便槽は旧来のコンクリート製のままで、太い塩ビの立管・曲り管を利用して「無臭トイレ化」することを思いつき、これの普及にも務めましたところ、市内の石川砂絵堂菓子舗とABCダンス・ホールでも市営住宅の時のような問題が起きました。タイルの汚れをふき取った、ボロ布と材木の切れっぱし(そろばん、くらいの長い板も)がパイプの中から出てきたのです。その時も私は市営住宅の便槽と同じようにその便槽の中へ、カッパとゴム長靴で入ってゆき、雑巾や板ぎれを取り除きましたので石川社長も驚かれました。使用中の広いコンクリートの便槽の中にいる私に、外から2、3回「大丈夫な!」と声をかけてくれたことを覚えています。
 それから20年後、前記の石川砂絵堂の賃貸マンション建築工事の起工式がありました。施主ご挨拶の時、石川社長は「人は真剣に働く姿勢に感動するものだ。もう20年前のことだが、詰まらないと聞いていた無臭トイレが詰まってしまったことがあり、その時、今日、そこの席に座っておられる三宅社長が、何のためらいもなく、使用中の便槽の中へ入って、詰まりの原因のボロ布や木くずを素手で取り除いてくれた。あの時のことは生涯忘れない感動として残っている。この三宅社長が経営している三宅産業と私共は会社がある限り、末永く取引を続けていきたいと思っている。よって今回の設備工事や電気工事は、当然三宅産業さんにお願いした次第だ。……」と云った主旨の言葉を述べてくださりました。起工式のテントの中で、私は、かつての日の無臭トイレの中に入った時のことを思い出しました。当然のこととして、当たり前に対応したに過ぎないのですが、20年後もまだ昨日の出来事のように語ってくださった砂絵堂石川社長に心からなる敬意を表しました。お客様のご満足の声を聞かして頂くときほど、嬉しい事はありません。

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