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エッセイ第20回「室本町子供チョーサと太鼓のリズムについて その2」

2017年01月06日

 新宮町は、川之江のずっと山手の方に位置する。お茶の産地で、私も若い頃、ガスの販路開拓に何度か出向いた事がある。かなり奥深い山あいの静かな町だ。この地で、新しく子供たちが室本の子供チョーサを、担ぐことになるのか。それとも従来のものが古くなったので修理をしようかと、討論しているところへ、室本、西条の子供ちょうさの無償贈与の話が舞い込んだのか?いきさつをくわしく聞いてみたい気がする。いづれにせよ室本のちょうさ文化は大きい節目を迎えたわけである。少子高齢化の波は、さらに厳しくなるに違いない。そして、太鼓台が嫁入りするなら、太鼓の叩き方も含めて継承してもらわねばなるまい。

(祭り太鼓の打ち方)
 通常の街中をねり歩いている時は、室本のちょうさ太鼓は「ドンデンドン・ドンデンドン・ドンデンドン・ドーンドン」とたたく。子供の頃一日中、『ひとつ、ふたつ、みっつでシャンシャン』と掛け声と共に打っていた。しかし太鼓台が高揚した動きになる時は「トコトコドッテン」を打っている。少し詳しく言うと、「太鼓台が走り出した時」と「お花をもらって、かき棒の前後を交互に接地した時、チョーサは前後に激しく揺れる(ホーラサイタと言う)さらに神社前などの広場で、かき手全員が、かき棒を肩に乗せ、次いで、合図と共に肩から手のひらに乗せて全員でさし上げた時(これもホーラサイタと言う)これ等の高揚時に、タイコは早打となる。『ドンデン・ドンデン・ドンデンドン、トコトコドッテン・トコトコドッテン・トコトコドッテン、ドーンドン』を一小節とした繰り返しとなる。子供時代に覚えたこの太鼓のリズムは、80才を越えた今も健在だ。頭の奥に染みついている。ところが皇太子神社から神事場まで往復ねり歩きの間に私は「あれっ?」と何度も太鼓の音を聞き直した。リズムが作れていないのだ。

 現在の子供たちの通常進行の叩き方は、規則正しいものになっていない。ドンデンドン・ドンデンドンのくり返しが延々と続いている場合がある。さらに『ホーラサイタ』の時などは、いきなり「トコトコドッテン・トコトコドッテン……」の繰り返しでいつの間にか終わっていて、次には通常の「ドンデンドン…ドンデンドン……」に変わっている。前奏も、終結もない。これはどうしたことか?室本のちょうさ太鼓のリズムなどは子供たちに数え唱のように教えれば、たかだか10分で覚えてしまうほど単調なものである。他部落の獅子舞の太鼓などは、笛やカネの音と共に踊る獅子に合わせて、30曲以上の変化があると云う。さまざまなハヤシや横笛などと共に細竹で打つ太鼓の音は繊細に続いているが、これもお祭りが近付くと氏子たちが集まって練習するらしく、我が社の朝礼でも、A君の幼稚園児は、30曲ほゞ習い終えて来年のお祭りを楽しみにしていると云うし、B君は夜ごとの練習で横笛の音が少し出せるようになったと発表していた。室本の太鼓も誰か年長の経験者が少しでも指導して、室本本来の打ち方に正すべきではないか。

 地域文化は形式だけでなく、中身を含めた継承が大切ではないかと、つくづく考えさせられる。

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